開催報告

JR仙台駅に到着したアジャ・リンポチェをカタで出迎えたスタッフが祝福を受ける

 アジャ・リンポチェ仙台法話会は11月3日、無事に開催できましたことを報告します。

 前日は東京、翌4日は名古屋というハードスケジュールのなか、アジャ・リンポチェは早朝の新幹線で仙台到着。仙台在住のモンゴル人留学生とチベせん代表がカタで出迎えます。来日は何度もされていますが東北は初めてとのこと。「センダイ、センダイ」と何度も楽しそうに繰り返していらっしゃいました。

 法話会に先立ち、モンゴル人留学生の案内で訪ねたのは、宮城野区の善応寺境内にある、モンゴルゆかりの「蒙古の碑」「徳王碑」です。
「蒙古の碑」は鎌倉時代の元寇に由来する供養碑で、弘安の役(1281年)後、明州(浙江省)出身の渡来僧で臨済宗円覚寺派の祖・無学祖元が弟子に命じ、兵士の冥福を祈るために立てたと伝わります。「徳王碑」は時代が下った昭和16(1941)年、モンゴル(蒙古連合自治政府)の主席・徳王(デムチュクドンロブ)が仙台を訪れて「蒙古の碑」を訪問、感激して松の木を植えていったことを記念する碑です。「徳王お手植えの松」も枝を伸ばしています。
無学祖元はモンゴル(元朝)支配を嫌って北条時宗を頼り、亡命的に来日した渡来僧。アジャ・リンポチェは、チベット仏教への中国当局の政治介入に耐えきれず亡命を選んだゲルク派の高僧で、米国のモンゴル・チベット仏教センターの代表を務めています。民族や立場はまるで逆ながら、国に仏教者が翻弄され、それでも仏教の灯を守り、異郷で教えを授け……と、歴史を700年以上下ってさえ、悲劇が繰り返されている現実を思いました。また、徳王は清朝末期の南モンゴルに生まれ、汎モンゴル独立国家の再興を夢見ながら、日本軍と中華民国のパワーゲームに翻弄され、その後成立した中国共産党政府に「日本人の手先となった反逆者」という(漢民族からみた)烙印を押されたままの“もうひとりのラストエンペラー”です。
リンポチェは、留学生から説明を受け、丁寧に青いカタを供え、酒と乳を捧げ、供養の経を唱えておられました。

 曹洞宗五峰山松音寺の本堂で開かれた法話会には、県内外のモンゴル人、地元檀家の方々、チベット仏教に関心をもつ方々など100人以上の方々にお越しいただきました。
リンポチェからはまず、集まった人たちへの福徳として、チベット仏教のお経を授けていただきました。ゲルク派の基本的な二つの戒、仏教の守護尊に帰依する真言、般若心経、などです。その後、チベット仏教が現在、中国政府のもとで置かれている状況についてのお話と、仏教についての基本的なものの見方、考え方をお話しいただきました。
ごあいさつはモンゴル語、法話はチベット語で行われ、チベット語通訳には専門家の三浦順子さんにお願いして東京から来ていただき、チベット語の仏教用語も分かりやすく正確な日本語でうかがうことができました。

 終了後も、リンポチェから直接祝福を受けようと、参加者が長い列をつくり、順番にカタを捧げました。リンポチェは、モンゴル人のお母さんに抱き上げられた幼い子供を優しく抱き寄せ、両手で頭を包み込むようにして真言を唱え、祝福しておられたのが印象的でした。
アジャ・リンポチェは、チベット仏教ゲルク派の祖で不世出の大哲学者、ジェ・ツォンカパ(1537―1419)を指導したお父さんのトゥルク(化身ラマ:転生活仏)ですので、リンポチェから祝福を受けることは、ツォンカパの先生から直接に祝福されているのと同じことになるわけです。本当にうれしそうなモンゴルの方々の表情に、信仰心の厚さと、リンポチェが引き受け背負っているものの大きさを思い、日本人側も敬虔な気持ちになりました。

 短い準備期間ながら、法話会が無事に、かつ盛大に開催できましたのも、全面的にご協力頂いた松音寺ご住職と檀家の方々のお力です。また、当日お越しいただいた多くの方に心より感謝申し上げます。

 ●2008年11月4日付河北新報記事に掲載されました

 <ご報告>
当日、志納箱にお寄せ頂きましたお志は、全額、アジャ・リンポチェ招聘委員会へお渡し致しました。ありがとうございました。
金 77,200-

■questionnaire
【お越し下さった方々の感想】(アンケートより)
・現在の私どもの生活に必要な心の在りようについての新しい捉え方が出来て良かった。
・仏教に関する具体的なお話をいただきありがとうございました。言葉のギャップは仕方ありませんが、仏教の本質をより深く理解する上で、チベット仏教の簡単な説明のプリント資料があれば、より理解できたかもしれません。
・チベットの状況も知りたかった。今後チベット人はどうなるのか、どこへ行くのか?
・色即空の解釈はよく分かりませんでした。実態がないのは常に変化しているからでしょうか? 他者に危害を加えない心は持っていても、それ以上を求めるには「智慧」が必要というお話でしたが、その智慧はどう得られるのか? 修行してでしょうか?
・慈悲と般若の話など大変良かった。このような場を設けてくれた松音寺さんに感謝。迫害にもめげずに正しい宗教を持ち続けた事に感激。
・貴重な話をたくさん聞けて良かった。チベットの生き証人とも言えるアジャ・リンポチェの生のお話を直接聞ける機会を作ってくださってありがとうございました。
・榴ヶ岡駅から松音寺まで道に迷いながら、あげく眼鏡をこわしてしまい頭の中が乱れて混乱していましたが、法話会は心地良いもので心身に心棒が入り内臓が素直に良い感覚で、強い行程の中に導かれてこれからの生活に有意義になります。
・価値がありました。
・とても良かったです。すごい企画だと思った。

アジャ・リンポチェ招聘委員会のモンゴル人たちと
「蒙古の碑」に酒と乳を捧げ、供養されるアジャ・リンポチェ
松音寺ご住職(右)とアジャ・リンポチェ
本堂でお話しされるアジャ・リンポチェ。ご挨拶はモンゴル語で、お話はチベット語で行われました
法話後、カタを捧げて祝福を受ける参加者が長い列を作りました。モンゴルの民族衣装で正装してきた親子も、アジャ・リンポチェから祝福を受けました

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